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64のストーリー
(64卦・ろくじゅうしか)

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1 乾為天(けんいてん)

・天は、健やかでひとときもとどまらない
・乾(けん)=天の力、健全な力、発展、始まり

この卦は、すべてが純粋で力強いエネルギーに満ちあふれた、「万物の始まり」を象徴しています。
 

天の働きが、雲を呼び雨を降らせてあらゆる命を育むように、あなたの進もうとする道も大きく開けていくでしょう。この大きな運気を味方にするためには、「正しく誠実な状態」を保つことが何より大切です。
 

天の運行が一時も休むことなく健やかに続くように、あなたも日々たゆまぬ努力を積み重ねてください。自分自身の本質を信じ、しかるべき時にふさわしい行動をとることで、周囲との調和が生まれ、物事は理想的な形でまとまっていきます。
 

リーダーシップを発揮し、ひたむきに突き進むあなたの姿は、やがて周りの人々を安心させ、素晴らしい結果を引き寄せるはずです。

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2 坤為地(こんいち)

・地は、幾重にも重なっている
・坤(こん)=大地、柔順、母性、包容力

この卦は、すべてを受け入れ育む「大地の大きな力」を象徴しています。
今は自分から先頭に立って強引に進むよりも、母なる大地や従順な雌馬のように、「一歩引いて周りに従うこと」で道が開ける時です。

何かを行おうとする際、先に立とうとすれば迷いが生じますが、後からついていくようにすれば物事はスムーズに進みます。また、自分と同じ志を持つ仲間と協力し合える場所を大切にしてください。たとえ一時的に仲間と離れるような場面があったとしても、天の導きに従っていれば、最後には大きな喜びが訪れます。

大地がその厚みですべてを包み込んでいるように、あなたも包容力を持って徳を積むことを意識してください。誠実で控えめな態度を貫き、正しい状態を保つことで、あらゆる物事が健やかに育ち、素晴らしい結果につながるでしょう。

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3 水雷屯(すいらいちゅん)

・雲が垂れこめ、雷がとどろく
・屯(ちゅん)=困難、停滞、準備、蓄え

この卦は、若芽が伸びようとしてまだ伸びられない、奮闘している、「産みの苦しみ」の状態を表しています。

前向きなエネルギー(雷)を秘めてはいますが、目の前にはまだ困難(水)が立ちふさがっており、物事がはっきりしない時期です。今は焦って無理に進もうとするのは逆効果。準備を怠らず、正しい姿勢を保っていれば、やがて運気は必ず大きく開けます。

この時期を乗り切るコツは、自分一人の力で何とかしようとせず、「信頼できる実力者に助けを求める」ことです。有能な協力者を得ることで、道はより確実なものになります。

今はまだ、雨が降るのを待つ雲のような停滞感があるかもしれません。絡まった糸を一本ずつ丁寧に解きほぐすように、まずは身の回りの筋道を整え、足元を固めることから始めてみてください。

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4 山水蒙(さんすいもう)

・山のふもとに泉がわき出る
・蒙(もう)=無垢、無知、学び始め

この卦は、山のふもとに泉がわき出て霧が立ち込めているように、「まだ知識が浅く、先行きがぼんやりしている状態」を表しています。
しかし、これは決して悪いことではなく、これから正しい導きを得ることで、道が大きく開けていく可能性を秘めています。

大切なのは、あなた自身の「素直に教えを請う姿勢」です。導き手からのアドバイスを待つのではなく、あなたの方から心からの誠実さを持って助言を求めてください。占いやアドバイスを受ける際は、最初の一言を大切にすること。疑って何度も同じことを聞き返すと、本質が曇ってしまいます。

山の下から絶えず湧き出る泉のように、焦らず地道に努力を積み重ね、徳を養っていきましょう。今はまだ険しい状況に足が止まっているかもしれませんが、正しい道を一歩ずつ、最後までやり遂げる意志を持つことで、霧は晴れ、良い結果へと導かれます。

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5 水天需(すいてんじゅ)

・雲が天にのぼっている
・需(じゅ)=待つ

この卦は、進むべき時が来るのをじっと「待つ」状態を表しています。

目の前には険しい状況や困難が立ちふさがっていますが、あなた自身にはそれを乗り越える十分な強さが備わっています。今は焦って飛び込むのではなく、誠実な心を持ち、正しい姿勢を保つことで、やがて運気は大きく開けていきます。

天に雲が広がっていても、雨が降り出すまでには時間が必要です。その間、あえて飲食や宴を楽しみ、心身をゆったりと休ませて英気を養います。この「待機」はただの停滞ではなく、進むために待つ準備期間です。

しっかりと時を待ち、適切なタイミングで動き出せば、大きな壁を乗り越え、輝かしい功績を上げることができるでしょう。

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6 天水訟(てんすいしょう)

・天は上へ、水は下へ
・訟(しょう)=争い、訴訟、論争

この卦は、意見の対立や争いごとが起こりやすい状態を象徴しています。
天は上へ向かい、水は下へ流れるように、お互いの進む方向がバラバラで、かみ合わなくなっています。

たとえあなたに正当な理由があったとしても、今は周囲との折り合いがつかず、思うように身動きが取れないかもしれません。ここで大切なのは、意地を張って「最後まで争い続けないこと」です。たとえ裁判や議論で勝ったとしても、徹底的にやり込めれば、かえって後味の悪い結果を招いてしまいます。

トラブルに直面したときは、自分一人で突き進まず、公平な判断ができる「徳の高い第三者」に相談しましょう。また、今は大きな決断やリスクのある挑戦は避けるのが賢明です。

争いを未然に防ぐためには、物事を始める最初の段階で、お互いの認識に食い違いがないか入念に確認しておくことが何よりの知恵となります。

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7 地水師(ちすいし)

・大地の内に水がたくわえられる
・師(し)=集団を組織する、戦争をする

この卦は、多くの人々が関わる組織やプロジェクト、あるいは「軍隊」のように一致団結して事に当たる状況を表しています。

大きな集団を動かす際に最も大切なのは、目的が「正しく誠実であること」、そして「経験豊かなリーダー」の存在です。たとえ困難や危険を伴う挑戦であっても、大義名分があり、冷静で思慮深い指揮官がいれば、人々は納得してついていき、災いを避けて素晴らしい結果を手にすることができます。

大地の下に豊かな水が深く蓄えられているように、リーダーとなる人は、表面的な強さだけでなく、人々を温かく包み込み、養う深い包容力を持つことが求められます。

今は、独断専行を避け、道理に基づいた統率力や協調性を発揮することで、大きな壁を乗り越えていける時です。

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8 水地比(すいちひ)

・地の上に水が豊にある
・比(ひ)=親しくする、寄り添う、協力する

この卦は、水が大地に染み込むように、人々が寄り添い、助け合う「親和と調和」の姿を表しています。

人とのつながりを得られる幸運な時ですが、ただ漫然と付き合えば良いわけではありません。相手が信頼に足る人物か、長く正しい関係を築けるかどうかを事前によく見極め、納得した上で心を通わせることが大切です。あなたが誠実で偏りのない態度を保っていれば、周囲の不安も解消され、自然と人はあなたの元へ集まってきます。

ここで重要なのは「スピード感」です。親しむべき相手や場所だと判断したら、迷わずすぐに行動してください。チャンスを逃して後から遅れて加わろうとしても、すでに信頼の輪は閉じており、せっかくの好機を失ってしまいます。

自分から心を開き、適切なタイミングで輪に入ることで、素晴らしい協力関係と喜びが得られるでしょう。

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9 風天小畜(ふうてんしょうちく)

・風が天の上をゆく
・小畜(しょうちく)=小さなものがとどめる、少しずつ蓄える

この卦は、天の上を風が吹き抜けていくように、「小さな力が大きなものを一時的におしとどめている」状態を表しています。

空には厚い雲が広がり、雨の気配はありますが、まだ降り出すには至っていません。今は大きな目標を前にして、少し足踏みをしているような「小さな蓄え」の時期です。しかし、あなたの中に強い意志があり、偏りのない正しい心でいれば、この停滞はやがて解消され、道は必ず開通します。

今は無理に力で突破しようとするよりも、優雅さや教養といった「柔らかな徳」を磨くことに専念してください。自分自身の内面を整え、実力を少しずつ蓄えていくことが大切です。

焦らずに準備を整えて待つことで、やがて恵みの雨が降り、滞っていた物事がスムーズに動き出す時がやってきます。

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10 天沢履(てんたくり)

・天が上にあり、沢が下にある
・履(り)=実践する、実行する

この卦は、まるで「虎の尾を踏む」ような、非常に緊張感のある危うい状況を象徴しています。
しかし、たとえ危険な場面であっても、明るく和やかな態度で誠実に対応すれば、虎に噛まれることなく、物事をスムーズに進めることができます。

成功の鍵は、天が上にあり沢が下にあるという自然の秩序にならって、「自分の立場や役割を正しくわきまえること」です。目上の人を敬い、礼儀を尽くして振る舞えば、あなたの心にやましいところはなく、その輝きは周囲を照らすでしょう。

今は、自分の実力を過信して強引に進むのではなく、秩序を守り、慎重かつ礼儀正しい「歩み」を心がけてください。そうすることで周囲の不安も解消され、安全に目的地へと到達できるはずです。

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11 地天泰(ちてんたい)

・天と地が交わる
・泰(たい)=安らかである、安泰である

この卦は、物事が滞りなく通じ、平和で安泰な状態を表しています。

悩みや障害といった「小さなもの」が去り、幸運や成功といった「大きなもの」がやってくる、非常に喜ばしい時です。天の気は昇り、地の気は降ることで、両者がうまく混じり合い、あらゆる命が健やかに育ちます。人間関係においても、立場を超えて心を通わせ、同じ志を持って協力し合える素晴らしいタイミングです。

あなたの内側には健やかさがあり、外側には周囲を受け入れる柔軟さが備わっています。このバランスが取れているからこそ、物事は順調に進みます。

この良い運気を長く保つコツは、全体の調和を整えることです。多すぎるものは控え、足りないものは補うように心がけ、周りの人を助ける余裕を持つことで、さらなる安らぎと繁栄が訪れるでしょう。

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12 天地否(てんちひ)

・天と地が交わらない
・否(ひ)=塞がる、うまくいかない

この卦は、物事がふさがって全く通じない、「停滞」の状態を表しています。

天の気は上へ離れ、地の気は下へ沈んでいくため、両者が交わることがありません。良い運気(大きなもの)が去り、トラブルや不穏な空気(小さなもの)がやってくる時期です。道理が通りにくくなっており、上と下の意思疎通も図れません。

今はたとえあなたが正しくあろうとしても、周囲との足並みが揃わず、良い結果を得ることが難しい時です。無理に物事を進めようとしたり、自分を飾り立てて目立とうとしたりすれば、かえって災いを招いてしまうでしょう。

今は表舞台で活躍しようとせず、自分の才能や徳をそっと内に隠し、静かに身を守ることに専念してください。困難な時期をやり過ごすために、今は「動かず、蓄える」という賢明な判断が必要な時です。

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13 天火同人(てんかどうじん)

・火が天に向けて燃え栄る
・同人(どうじん)=人と協同する、同志を求める

この卦は、同じ志を持つ仲間が集まり、協力し合う「対等でオープンな関係」を象徴しています。

天も火も、共により高みへと昇っていく性質を持っており、向かうべき方向が一致しています。人と仲良く協力する際は、野原のように広々とした「公平な心」で接することが成功の鍵です。特定の人とだけ密着するのではなく、誰に対してもオープンな姿勢でいれば、運気は大きく開け、大きな困難も乗り越えていくことができるでしょう。

大切なのは、知性(火)と強さ(天)を兼ね備えつつ、常に偏りのない正しい判断を心がけることです。そのような誠実さがあってこそ、多くの人の気持ちを汲み取ることができ、組織やプロジェクトは素晴らしい結果へと導かれます。

物事を進める際は、それぞれの個性を認めつつ、共通の目的のために力を合わせる「調和の精神」を大切にしてください。

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14 火天大有(かてんたいゆう)

・真昼の太陽
・大有(たいゆう)=大きな恵み、豊かな実り

この卦は、「大いなるものを所有し、豊かさに満ちあふれる」という最高の運気を表しています。
太陽が天の高くにあり、世界の隅々までを明るく照らし出しているような、非常に盛大で勢いのある状態です。

今のあなたは、内面には力強い意志を持ちながら、外側には冷静で明らかな知性を備えています。また、高い立場にあっても偏りのない心を保つことで、周囲の協力も得やすく、物事はおおいにとおるでしょう。

この素晴らしい運気を活かす鍵は、太陽がすべてのものを照らし出すように、「公平で正しい判断」を心がけることです。悪い芽を摘み、良い行いを褒め称える誠実さを持ちましょう。私欲に走らず、天から与えられた役割に素直に従うことで、その豊かさはさらに確かなものになります。

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15 地山謙(ちざんけん)

・山が地の下にいる
・謙(けん)=謙虚な態度、控えめな気持ち

この卦は、地の中に高い山が隠れている様子を表しており、豊かな才能や実力がありながらも、決してひけらかさない「謙虚さの徳」を象徴しています。

謙虚であることは、単に控えめなだけでなく、物事を最後までやり遂げるための大きな力となります。自然界の法則や人々の心、そして目に見えない運命の働きまでもが、「満ち足りて威張っているもの」を嫌い、「謙虚で足るを知るもの」に味方するようになっているからです。

たとえ今、あなたが低い立場にいたとしても、謙虚さを忘れずにいれば、その内面的な輝きは誰にも負けない尊いものになります。

運気を味方につけるポイントは、多すぎるものを抑え、足りないものを補うという「バランス」と「公平さ」を大切にすることです。自分を誇示せず、周囲と調和しながら一歩ずつ進むことで、最後には必ず素晴らしい結果を手にすることができるでしょう。

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16 雷地豫(らいちよ)

・地上に雷が響きわたる
・豫(よ)=よろこび楽しむこと、準備すること

この卦は、「喜び楽しむこと」と「あらかじめ準備すること」の両方を象徴しています。
大地の上で雷が鳴り響き内に秘めていた活力が外へと溢れ出し、人々が心躍らせる活気ある状態を表しています。

今は、新しいチームを作ったり、大きなプロジェクトを始動させたりするのに非常に適したタイミングです。ただし、ただ闇雲に動くのではなく、自然の摂理や社会の道理にかなった「正しい道筋」を守ることが大切です。太陽や月、そして四季が狂いなく巡るように、道理に基づいた行動をとれば、周囲の人々も安心してあなたに協力してくれるでしょう。

また、この時期の喜びは自分一人で抱え込むのではなく、音楽を楽しむように周りと分かち合うことが開運の秘訣です。これまでの恩恵や先人たちの努力に感謝し、明るいエネルギーを循環させることで、物事はさらに理想的な方向へと進んでいきます。

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17 沢雷随(たくらいずい)

・沢の中に雷気がひそむ
・随(ずい)=流れに従う、柔軟に適応する

この卦は、「状況や相手に素直に従うこと」の大切さを象徴しています。

自分の意見を強引に通そうとするのではなく、周囲の動きや相手の喜びを優先して動くことで、物事は驚くほどスムーズに運びます。大切なのは「正しい相手や物事」を選んで従うことです。誠実な心で良いものに歩調を合わせるなら、失敗や後悔をすることはありません。

秋になると雷が沢の中に隠れて休むように、私たちも自然のリズムに従うことが必要です。日が暮れたら休息をとるように、今は無理をせず、時の流れに身を任せてみてください。

タイミングを見極め、ふさわしい流れに乗ることで、あなたも周囲も喜びを感じられる素晴らしい結果につながるでしょう。

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18 山風蠱(さんぷうこ)

・山の下に風が吹き荒きこむ
・蠱(こ)=形が変わる、壊す、変革する

この卦は、物事が内部から「腐敗し、滞っている状態」を表しています。
山の下で風が動かず、空気がよどんでいるように、甘えや馴れ合いによって物事がスムーズに進まなくなっています。

しかし、この「腐敗」が行き着くところまで行けば、次は必ず「再生」へと向かいます。今は、その滞りを一掃して新しく出発する絶好のチャンスです。勇気を持って現状を変えるような「大きな挑戦」に踏み出すのにも良い時期と言えるでしょう。

成功させるためのポイントは、「新たな気持ち」で取り組み、その準備と実行を「丁寧」に行うことです。物事が終わればまた始まるのは、自然界の変わらないルールです。

これまでの古い習慣や乱れを正し、人々を助けながら自分自身の徳を養うことで、よどんでいた運気は再び力強く動き出し、素晴らしい結果へとつながっていくでしょう。

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19 地沢臨(ちたくりん)

・高い所から沢を見おろす
・臨(りん)=水辺をのぞむ、準備が整い行動に移そうとしている

この卦は、高いところから広い沢を見渡すように、「希望を持って物事にのぞむ」様子を表しています。

今は、明るく前向きなエネルギーが少しずつ高まっていく、非常に勢いのある時期です。周囲の人々と喜びを分かち合い、素直な気持ちで協力し合うことで、物事はおおいにとおり、素晴らしい結果につながるでしょう。

ただし、運気にはサイクルがあります。今は絶好調に向かっていますが、勢いが極まれば、やがて衰えが始まるのが自然の道理です。好調な時こそ、慢心せずに正しい姿勢を保ち続けることが大切です。

高い場所から人々を温かく見守る大地のように、広い心で周りを教え導き、包容力を持って接してください。その尽きることのない深い愛情が、あなたの運気をより確かなものにしてくれます。

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20 風地観(ふうちかん)

・風が地上を吹き渡る
・観(かん)=観る、観られる

この卦は、「真心を込めて観ること」と、同時にその姿が「周りから仰ぎ観られること」を象徴しています。

神様をお祭りする際、手を清めてお供えをする直前の、最も心が引き締まり誠実さが満ちあふれている瞬間をイメージしてください。あなたがそのような厳粛で偽りのない態度を保っていれば、周囲の人々は自然とその姿に感化され、あなたを信頼してついてくるようになります。

大地の上を風が吹き渡るように、今は偏りのない公正な視点で、周囲の状況をよく観察することが大切です。自然界の四季が狂いなく巡るように、道理に基づいた誠実な教えや行動を示せば、人々の心は安らかにまとまります。

今は自分から派手に動くよりも、物事の本質をじっくりと見極め、自身の内面を整えることで、大きな影響力を発揮できる時です。

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21 火雷噬嗑(からいぜいごう)

・火と雷の気が共にある
・噬嗑(ぜいごう)=噛み砕く、克服する

この卦は、「邪魔なものを噛み砕く」ことを象徴しています。
口の中に何か物が挟まっているとき、それをしっかり噛み砕いて取り除けば、上下の歯が合わさりスッキリするように、今のあなたには「障害を取り除く決断力」が求められています。

成功への鍵は、雷のような「力強い行動力」と、稲妻のような「鋭い洞察力」を併せ持つことです。もし目の前に問題やトラブル、あるいはルールを乱すような存在があるのなら、曖昧にせず、はっきりと白黒をつけるべき時です。

厳正な態度で物事の善悪を判断し、適切な処置をとることで、滞っていた状況は一気に解消され、道はスムーズに通るようになります。勇気を持って障害を打ち破ることが、明るい未来への近道となるでしょう。

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22 山火賁(さんかひ)

・山の裾野を夕陽が照らす
・賁(ひ)=飾り立てる、装飾する

この卦は、「飾ること」や「美しく整えること」を象徴しています。
山の下で火が明るく輝き、周囲を照らしているような、礼儀や文化、身だしなみが大切になる時です。

今は、外側を美しく整えることで物事がスムーズに運びやすくなります。ただし、「飾る」ということは、あくまで表面的な華やかさでもあります。そのため、一気に大きな勝負に出るよりも、控えめに「すこしずつ進む」のが良い結果につながるでしょう。

自然の移り変わりを観察して時を知り、人の文化に触れて教養を深めることで、あなたは周りを導く力を得られます。

開運のポイントは、日常の細かなことに目を向け、丁寧に整えることです。今は重大な決断や激しい争いごとは避け、まずは身近な小さな物事を明らかにすることから始めてみてください。

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23 山地剝(さんちはく)

・山が崩れて平地になる
・剝(はく)=削り取る、リセットされる

この卦は、積み上げたものが崩れたり、表面がはがれ落ちたりするような、「物事が削られていくこと」を象徴しています。
自分の力ではどうにもならない大きな流れによって、削り取られていくような時期です。

今は無理に前へ進もうとしたり、状況を変えようとあがいたりするのは逆効果です。自然界に満ち欠けがあるように、運気が衰退するのも一つのサイクル。今はその流れに逆らわず、山のようにどっしりと留まって、時が過ぎるのを静かに待つのが賢明な判断です。

もしあなたが誰かを導く立場にあるなら、自分の地位を守ることよりも、まずは「身近な人や自分を支えてくれる人たち」を大切にし、その生活や心を安定させることに尽力してください。周囲を慈しみ、足元を固めることが、巡り巡ってあなた自身を支えることにつながります。

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24 地雷復(ちらいふく)

・雷の気が地中で動き出す
・復(ふく)=戻る、回復する

この卦は、一度離れた運気やエネルギーが再び戻ってくる「復活・回復」を象徴しています。

冬が終わって春が来るように、寒い時期を通り抜け、明るい希望(陽の気)が足元から芽生え始めました。今、自然のサイクルに従って、物事が正しい方向へと動き出しています。あなたを助けてくれる仲間も自然と集まってくるため、不安を感じる必要はありません。

運気はこれから徐々に強まっていくので、前向きに進んでいくのに非常に良い時期です。ただし、このエネルギーはまだ大地の中に眠る雷のように、生まれたばかりで繊細なものです。

かつての王が、冬至の日(最も陽が短い日)に門を閉じて休息し、英気を養ったように、あなたも今は焦って急ぎすぎず、まずは心身を整えることを大切にしてください。自然なリズムに合わせて一歩ずつ進むことで、道は確実におおいにとおるでしょう。

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25 天雷无妄(てんらいむぼう)

・天空に雷鳴がとどろく
・无妄(むぼう)=邪心や不正がない様子

この卦は、「いつわりや私欲がなく、天の理(ことわり)に従っている状態」を象徴しています。
天の下で雷が鳴り響き、すべての命に自然の秩序が与えられるように、作為を捨てて流れに身を任せることで、運気はおおいにとおるでしょう。

今のあなたにとって大切なのは、「動機が純粋であること」です。計算や下心を持たず、正しい姿勢で取り組んでいるのであれば、天の助けを得て素晴らしい結果につながります。

しかし、もし私欲にかられたり、不純な動機があったりするなら、思わぬ災いに見舞われる可能性があります。その場合は、無理に進もうとせず、立ち止まるのが賢明です。天の運行に背いて進むことはできません。

今は小細工をせず、時に応じて万物を育む自然のあり方にならい、誠実で素直な心でいることが最大の開運法となります。

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26 山天大畜(さんてんたいちく)

・天の気が山の中にたくわえられている
・大畜(たいちく)=大きくとどめる、大いに蓄える

この卦は、「大いなる力を蓄え、養うこと」を象徴しています。
天のような広大なエネルギーを、山がどっしりと受け止め、内側に貯蔵している非常にパワフルな状態です。

今は、自分の実力や徳をじっくりと養うのに最適な時期です。古の賢人たちの言葉や素晴らしい行いに学び、それらを自分の知識や経験として積み重ねることで、あなたの内面は日々新しく、光り輝いていきます。

蓄えた力は、自分一人で独占するのではなく、ぜひ社会や仕事の場で活かしてください。正しい姿勢を保ち、実力のある人を敬いながら進めば、大きな困難や挑戦も自信を持って乗り越え、素晴らしい結果を手にすることができるでしょう。

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27 山雷頤(さんらいい)

・山麓に雷鳴がひびく
・頤(い)=自らを養う

この卦は、「養うこと」を象徴しています。動かない上あご(山)の下で下あご(雷)が動く、まさに「食事をして自分を養う」姿を表しています。

この卦が出たときは、「何を、どのように養っているか」を見つめ直すことが成功への鍵となります。自分の体や心を健やかに保つために何を取り入れるべきか、また自分が誰を、どのような目的で育てようとしているのか、その「中身」と「方法」をよく観察してください。

天が万物を育み、優れたリーダーが賢い人を育てて社会を豊かにするように、正しい「養い」は大きな幸福をもたらします。

今は、「言葉を慎重にし、飲食を控えること」を意識しましょう。不注意な発言で徳を失わないよう気をつけ、暴飲暴食を避けて体を整える。こうした身近な自己管理こそが、運気を安定させる確実な土台となります。

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28 沢風大過(たくふうたいか)

・沢の水が木を枯らしている
・大過(たいか)=重い荷物

この卦は、「並外れた重圧や、極限の状態」を象徴しています。
家を支える太い梁(はり)が重みに耐えかねて、中央からたわんでいるような、非常に大きな負担がかかっている状況です。

しかし、恐れる必要はありません。あなたの中には周囲と調和する「柔軟さ」があり、外側には困難を乗り越える「喜び」の力が備わっています。状況を動かす中心的な力は公正でバランスが取れているため、勇気を持ってこの難局に立ち向かい、積極的に前進することで、道は必ず開けます。

沢の水が木を飲み込んでしまうような圧倒的な状況の中では、時に人並み外れた強い意志が必要です。たとえ周囲から理解されず孤独になったとしても、自分の志を信じて恐れないでください。世間の評判に惑わされず、信念を貫き通すことが、この大きな局面を乗り越えて成功をつかむための鍵となります。

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29 坎為水(かんいすい)

・洪水で水が満ち満ちている
・習坎(しゅうかん)=困難が重なっている状態

この卦は、「困難が次々と重なっている状態」を象徴しています。
水が絶え間なく流れ、険しい谷間へ次から次へと流れ込んでいくような、非常に厳しい局面を表しています。

しかし、水はどれほど険しい場所を流れても、その本来の性質(潤し、流れる力)を失うことはありません。あなたも今、苦しい状況の中にあったとしても、心の中に「誠実さ」を持ち続けていれば、道は心のままに開通します。

困難はただあなたを苦しめるものではなく、国を守る城壁が険しい地形を利用するように、あなた自身を強くし、守るための糧にもなります。公平で正しい態度を崩さずに進んでいけば、やがてその功績が認められ、周囲から尊敬を集める結果につながるでしょう。

水が流れ続けるように、日々の善い行いを積み重ね、粘り強く取り組むこと。その「継続」こそが、この難局を突破し、大きな徳を養うための鍵となります。

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30 離為火(りいか)

・太陽が重なっている
・離(り)=明らかであること、付着すること

この卦は、太陽のように「明るく輝く知性」と、火が薪に燃え移るような「何かに寄り添い、付着すること」を象徴しています。

火が燃え続けるためには、薪という支えが必要なように、私たちも「何に頼り、何と共にあるか」という対象が正しければ、物事はスムーズに進み、素晴らしい結果(吉)につながります。太陽や月が天にあることで輝き、草木が大地に根を下ろして茂るように、正しい居場所や目的を見極めることが大切です。

成功の鍵は、情熱を燃やす一方で、「牝(めす)の牛のような従順な心」を養うことです。自分勝手に突き進むのではなく、正しい道理に従う柔軟さを持ちましょう。

重なり合う明るい光が世界を照らし出すように、あなた自身が正しい知性と徳を受け継ぎ、周囲を明るく導いていくことで、運気はさらなる輝きを増していくはずです。

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31 沢山咸(たくざんかん)

・山の上に沢があって豊な潤いがある
・咸(かん)=感応する、調和する

この卦は、「お互いに心を通わせ、深く共感すること」を象徴しています。
山の上に豊かな水を湛えた沢があり、その水が山にしっとりと染み込んでいくような、純粋で自然な響き合いを表しています。

物事がスムーズに進む鍵は、相手を尊重する「謙虚な姿勢」です。特に、強い立場の人が一歩引いて相手に寄り添ったり、男性が女性に対して敬意を持って接したりすることで、素晴らしい調和が生まれます。正しい誠実な心で向き合えば、新しいパートナーシップを築いたり、結婚へと進んだりするのにも良いタイミングです。

天地が響き合って万物を育むように、まずは自分の先入観を捨て、心を空っぽにして相手を受け入れてみてください。そうして真心で感じ合うことができれば、周囲との関係は穏やかにまとまり、理想的な結果へと導かれるでしょう。

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32 雷風恒(らいふうこう)

・雷が風に乗って両者が結びつく
・恒(こう)=永続して変わらない様子

この卦は、「長く変わらない法則」や「継続すること」を象徴しています。
雷が鳴り風が吹くように、自然界は常に動いていますが、その背後にある「変化しながらも循環し続ける法則」は決して変わりません。

今は、正しいと信じる道を粘り強く続けていくことで、道はおおいにとおり、素晴らしい結果につながる時期です。迷いや不安があったとしても、正しい姿勢を保っているなら、そのまま自信を持って進んでいって大丈夫です。

成功の秘訣は、太陽や月が常に空にあり、四季が巡り続けるように、自分自身の「軸」をしっかり持つことです。物事は終わればまた新しく始まるのが世の理。一時的な変化に惑わされず、自分が立つべき場所にどっしりと腰を据え、進むべき方向を変えない強さを持ちましょう。

周囲と協力し合いながら、誠実に一つのことを積み重ねていくことで、あなたは周囲に安心感を与え、大きな信頼を築いていくことができます。

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33 天山遯(てんざんとん)

・天の下にある山に逃れる
・遯(とん)=退く、身を隠す

この卦は、「退避すること・一歩引くこと」を象徴しています。
天の下に山がそびえ、その距離を保っているように、今は無理に前進するよりも、あえて身を隠したり、距離を置いたりすることで、かえって自分の志を貫き通せる時です。

あなたを振り回すような面倒な人や状況が勢いを増している時期です。そのため、大きなプロジェクトや勝負事は今は控えるのが賢明でしょう。しかし、日常の小さな物事であれば、正しい姿勢を保つことで良い結果を得られます。

大切なのは、「逃げる」のではなく「戦略的に退く」という考え方です。相手を憎んで遠ざけるのではなく、自分自身を厳しく律し、凛とした態度を保ってください。あなたが自分を磨き、高潔な姿勢を示すことで、相応しくない人やトラブルは自然とあなたの元から離れていくでしょう。

時勢の流れをよく見て、今は一歩引いて英気を養うことが、将来の成功を確実にするための選択となります。

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34 雷天大壮(らいてんたいそう)

・雷鳴が天上にとどろく
・大壮(たいそう)=勢いが盛んで力が強い様子

この卦は、力がみなぎり「物事が非常に盛んな状態」を象徴しています。
天の上で雷が鳴り響くように、今のあなたには強い勢いがあり、大きなエネルギーに満ちあふれています。

しかし、勢いが強すぎるときは、つい力任せに無理を通したり、不注意から道を踏み外したりしてしまいがちです。だからこそ、この時期に素晴らしい結果を手にするための鍵は、何よりも「正しさを貫くこと」にあります。

ただ強いだけでなく、自分の行動が道理や礼儀にかなっているかを常に問いかけてください。「礼儀に反することは行わない」という強い自制心を持つことで、その大きなエネルギーは初めて正しい方向に活かされます。

自分を律し、正しい道を踏みしめて進むことで、あなたの持つ力は本物となり、確かな成功へとつながっていくでしょう。

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35 火地晋(かちしん)

・大地の上に明るい太陽がのぼる
・晋(しん)=日がのぼりすすむ、明らかである

この卦は、太陽が大地の上に現れ、辺りを明るく照らしながら昇っていく「進展」の様子を象徴しています。

これまでのあなたの努力や功績が認められ、目上の人から手厚い褒美を授かったり、特別な信頼を得て何度も面会を許されたりするような、非常に名誉ある時期です。

成功の鍵は、周囲に対して「素直で柔軟な態度」を保ちつつ、内面には「明晰な知性」を光らせていることにあります。そのバランスが取れているからこそ、あなたは自然と高い評価を得て、さらに上のステージへと進んでいくことができます。

太陽が世を照らすように、あなた自身の優れた才能や誠実な徳を、包み隠さず表に出していきましょう。ただし、勢いがある時こそ礼儀を忘れず、正しい道から外れないよう自らを律することが大切です。その真摯な姿勢が、あなたの輝きをより一層確かなものにしてくれます。

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36 地火明夷(ちかめいい)

・太陽が地中に隠れる
・明夷(めいい)=才能が認められない

この卦は、太陽が地の下に押し込められ、「光が傷つけられた暗黒の状態」を象徴しています。
今は自分の才能や正しさが周囲に認められにくく、大きな困難や災難に遭いやすい時期です。

このような厳しい状況を乗り切るための鍵は、「あえて自分の賢さを隠すこと」にあります。内面には確かな知恵と正しい志を秘めながらも、外側では周囲に合わせて目立たず、従順な態度を保ってください。かつての賢者たちが過酷な環境でも心の中の光を消さなかったように、あなたも今は静かに耐え、自分の信じる正しい道をまもり抜くことが大切です。

はっきりと自分の能力を主張するより、あえて茫漠とした、つかみどころのない態度でいる方が、かえって自分の身を守り、内なる知性を保つことにつながります。今は無理に状況を変えようとせず、嵐が過ぎ去るのを待つ賢明さを持ちましょう。

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37 風火家人(ふうかかじん)

・火が燃えて風が起こる
・家人(かじん)=家族、大切にしているコミュニティ

この卦は、「家庭や身近な組織のあり方」を象徴しています。火から風が生まれるように、外へ向かう力は常に「内側」から始まります。
物事を成功させるためには、まず自分の足元や家族、チームといった内部の調和を整えることが最も重要です。

成功への鍵は、それぞれが自分の役割をしっかりと果たすことにあります。リーダーがリーダーらしく、支える側が支える側らしく、お互いを尊重し合うことで、家や組織の道は正しく整います。特に、内部を切り盛りする人が誠実で正しい状態であれば、外での活動も自然と良い結果につながるでしょう。

天地に秩序があるように、身近なコミュニティが安定してこそ、社会全体も安泰となります。

まずは自分自身の「言葉を誠実にし、行動に一貫性を持たせること」から始めてください。あなたの内面が整い、身近な場所が温かく正しい場所になれば、そこから吹く風は周囲に良い影響を及ぼし、大きな幸せを運んでくるはずです。

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38 火沢睽(かたくけい)

・火は上にいき、沢は下へいきお互い反目している
・睽(けい)=半目する、そむく

この卦は、「反目すること・背き合うこと」を象徴しています。火は上へと燃え上がり、沢の水は下へと浸透していくように、お互いの進む方向や気持ちがバラバラになりやすい状態を表しています。

今は、たとえ同じ場所にいても「意見が合わない」「足並みが揃わない」と感じることが多いかもしれません。しかし、天と地、男と女のように、性質が異なるからこそ新しいものが生まれ、心を通わせることもできるのです。

運気としては、大きな勝負事には向きませんが、日常の「小さなこと」であれば良い結果につながります。

成功の鍵は、無理に相手を自分と同じにしようとしないことです。根本的な目的さえ共有できていれば、やり方や個性が違っていても問題ありません。「人との違い」を認め、それぞれの持ち味を活かす広い心を持つことで、反目し合っている状況の中にも、意外な共通点や協力のチャンスが見つかるはずです。

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39 水山蹇(すいざんけん)

・山の上で、激しく水が流れている
・蹇(けん)=進むのが難しい状況

この卦は、足がもつれてスムーズに歩けないような、「進みたくても進めない困難な状況」を象徴しています。
目の前に険しい山があり、さらに激しい勢いで川が流れているような、行く手を阻まれる厳しい局面を表しています。

今は、無理に険しい方向へ突き進もうとすれば、ますます行き詰まってしまいます。むしろ、無理のない平坦な道を選んだり、立ち止まったりする冷静さが必要です。危険を察知して「今は動かない」と判断できるのは、非常に優れた知恵の証でもあります。

こうした困難な時に、自分一人の力だけで解決しようとするのは得策ではありません。経験豊かで信頼できる「目上の人や実力者」に会い、助言を求めることで、事態を好転させるきっかけが得られるでしょう。

進めないことに焦るのではなく、山の上に水が留まるように、今は自分の内面を振り返り、「自分自身の徳を養うこと」に専念してください。自分の在り方を正しく整えることが、結果として周囲を安定させ、幸運を呼び込む近道となります。

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40 雷水解(らいすいかい)

・雷鳴がとどろき雨が降りそそぐ
・解(かい)=とく、ほどく、解き放つ

この卦は、冬の氷が解けて春が来るように、「困難が解決し、悩みから解放されること」を象徴しています。
険しい状況の中でも勇気を持って動くことで、危機を脱することができる時です。

今は、物事を複雑に考えすぎず、無理のない平坦な道を選ぶのが正解です。穏やかでわかりやすい方法で進めることで、周囲からも多くの支持を得られるでしょう。

これからの行動指針には2つのパターンがあります。 もし、すでに大きな問題が片付いているのなら、むやみに動かず、「本来の自分の場所に戻って安らぐこと」が幸運を呼びます。一方で、まだ解決すべきことが残っているなら、「速やかに行動して片付けること」が成功への近道です。

雷雨が激しく降った後に、あらゆる植物が一斉に芽吹くように、この時期は新しい命を育むエネルギーに満ちています。恵みの雨がすべてを洗い流すように、他人の過去のあやまちを許し、寛大な心で接することを心がけましょう。その包容力が、あなた自身をさらに大きな繁栄へと導いてくれます。

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41 山沢損(さんたくそん)

・山の裾野に沢がある
・損(そん)=へること、少なくなること

この卦は、「減らすこと」「手放すこと」を象徴しています。
山の下に沢があり、その水が山の裾野を削っていく様子を表していますが、削られた土は豊かな土壌となり、山をさらに強固にします。今は、目先の利益や自分自身の欲をあえて抑えることで、後に大きな幸運を呼び込む時期です。

最も大切なのは、形よりも「誠実な真心」です。神様へのお供え物も、真心さえあれば豪華な飾りは必要なく、質素な器二つで十分喜ばれます。今のあなたも、無理に自分を大きく見せたり、贅沢をしたりする必要はありません。背伸びをせず、等身大の誠実さで物事に向き合えば、道はおおいにとおり、災いに見舞われることもありません。

世の中には、減らすべき時もあれば、増やすべき時もあります。今はあえて自分の「怒り」を静め、「過剰な欲」を手放して、内面を磨くことに集中してください。自分を律し、正しい姿勢を保って進むことが、結果としてあなた自身の徳を積み上げ、確かな成功へとつながっていきます。

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42 風雷益(ふうらいえき)

・風が吹き、雷鳴がとどろく
・益(えき)=ふえる、ふやす

この卦は、「増えること、利益があること」を象徴しています。
激しい雷と強い風がお互いに勢いを強め合うように、今は活気に満ち、物事がどんどん拡大していく絶好のタイミングです。

この時期は、積極的に行動を起こすのに非常に適しています。たとえ目の前に大きな川を渡るような困難な挑戦があったとしても、勇気を持って踏み出すことで道が開けるでしょう。

成功をさらに確かなものにする鍵は、「自分の力を惜しみなく周囲に分け与えること」にあります。上の者が少し自分を削ってでも下の者を豊かにすれば、関わるすべての人に喜びが広がり、結果としてあなた自身の利益も際限なく増えていきます。

開運のポイントは、素直さとスピーディーな改善です。「善いことを見つければすぐに学び、自分の過ちに気づけばすぐに改める」。この潔い姿勢が、あなたを日々前進させ、輝かしい未来へと導いてくれるはずです。

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43 沢天夬(たくてんかい)

・沢が天上にある
・夬(かい)=決して和らぐ

この卦は、「決断して障害を切り開くこと」を象徴しています。
天の上に沢の水が溜まり、今にも決壊して一気に流れ出しそうな、非常に勢いのある決断の時を表しています。

今のあなたには、滞っている状況を力強く押し切るパワーが備わっています。しかし、勢いがある時こそ「力任せ」にならないよう注意が必要です。問題を解決する際は、隠れて動くのではなく、公明正大な態度で誠実に周囲へ働きかけましょう。

成功の鍵は、まず「自分の足元(身近な場所や自分自身)をしっかり整えること」から始めることです。一方的に相手を攻撃したり、強引な手段に訴えたりすると、かえって行き詰まってしまいます。「危うさがある」という自覚を持って慎重に、かつ喜びの気持ちを持って接することで、相手の反発を和らげ、大きな成果を手にできるでしょう。

また、天の恵みが雨となって地上に降り注ぐように、自分だけで幸運を独占せず、得られた利益や喜びを周囲の人たちに分け与えることを忘れないでください。その心の余裕が、あなたの進む道をより確かなものにしてくれます。

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44 天風姤(てんぷうこう)

・天の下に風が吹き渡る
・姤(こう)=思いがけなく出会う

この卦は、「思いがけない出会い」を象徴しています。
天の下を風が吹き抜けていくように、予期せぬ出来事や人との縁が向こうからやってくる時です。

この出会いは非常に勢いが強く、特に「柔らかなもの(女性的なエネルギー)」が強い影響力を持っています。その場の出会いとしては非常に刺激的ですが、結婚のように「長く一緒に生活すること」を目指す場合には、勢いが強すぎてバランスを欠き、あまり向きません。一時的な盛り上がりに流されすぎないよう、冷静さも必要です。

しかし、広い目で見れば「出会い」は万物を生み出す源でもあります。天と地の気が触れ合って新しい命が生まれるように、この偶然の出会いから物事が明るく形になっていくこともあります。

成功の鍵は、風が天下の隅々まで行き渡るように、「自分の意志や計画を広く周りに伝えること」です。公平で正しい態度を保ちながら、積極的にメッセージを発信してください。あなたの言葉が風に乗って四方に伝わることで、この偶然の出会いを大きな影響力へと変えていくことができるでしょう。

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45 沢地萃(たくちすい)

・沢が地上にある
・萃(すい)=人や物があつまる

この卦は、「人・物・チャンスが勢いよく集まること」を象徴しています。
地の上に豊かな水を湛えた沢があるように、多くの恵みが一箇所に集まり、活気と喜びに満ちあふれている状態です。

今は、積極的に外へ出て多くの人と交流したり、大きな目的のために力を合わせたりするのに非常に良い時期です。成功を確実にするための鍵は、「信頼できる実力者の助言を得ること」。そして、正しい姿勢を保ち、集まった幸運に対して「感謝の心」を忘れないことです。古の王が先祖を祀り、盛大なお供えをして感謝を捧げたように、あなたも真心を持って周囲と喜びを分かち合うことで、道はおおいにとおります。

ただし、人や物が集まりすぎると、予期せぬ混乱やトラブルが起こる可能性もあります。沢の水が決壊しないよう堤防を見守るように、「賑やかな時こそ気を引き締め、万が一の事態に備えて準備を整えておくこと」が大切です。この「感謝」と「備え」の二つを意識することで、集まったエネルギーを素晴らしい成果へと繋げることができるでしょう。

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46 地風升(ちふうしょう)

・地中の種が発芽して成長する
・升(しょう)=上昇する、伸び育つ

この卦は、「上昇すること・伸び育つこと」を象徴しています。
地中にあった種が芽吹き、大地を突き抜けて空へと真っ直ぐ伸びていくような、生命力あふれる成長の勢いを表しています。

現在の運気は非常によく、物事はおおいにとおります。この上昇の波に乗るための鍵は、自分を導いてくれる「実力者」の力を借りることです。素直な心で教えを請い、目上の人に会うことで、大きな喜びと成功を手にできるでしょう。心配する必要はありません。

また、暗い場所にとどまるのではなく、南のような「明るい方向」を目指して進んでいくことが幸運を呼び込みます。

ただし、大木が一夜にして育たないように、急ぎすぎるのは禁物です。木が少しずつ枝葉を広げるように、あなたも「日々の小さな努力や善い行い」を積み重ねていってください。その着実なステップが、やがて誰にも揺るがせない広大な徳となり、あなたを高いステージへと押し上げてくれるはずです。

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47 沢水困(たくすいこん)

・沢の下に水がもれて沢が枯れてしまっている
・困(こん)=困る、苦しむ

この卦は、「困難な状況や、行き詰まって苦しむこと」を象徴しています。
沢の水が下に漏れ出し、底が干上がってしまったような、気力や資源が枯渇しやすい時期を表しています。

今は、自分の力だけではどうにもならない不自由さを感じるかもしれません。しかし、こうした厳しい状況にあっても、心の中に「明るい喜び」を失わず、正しい姿勢をまもり抜くことで、道はやがて開通します。

成功への鍵は、「多くを語らないこと」にあります。苦しい時はつい周囲に状況を訴えたくなりますが、今は言葉で説明しようとしても、なかなか聞き入れてもらえない時期です。無理に説得しようとすれば、かえって窮地に陥ることもあります。今は静かに口を閉じ、自分の内面(徳)を養うことに専念しましょう。

強い志を持ち、たとえ身を削るような苦労があっても、やるべきことを成し遂げようとする覚悟が、あなたを救います。この困難は、あなたの本当の実力と品格を試す貴重な機会となるはずです。

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48 水風井(すいふうせい)

・木のこずえまで水が行き渡る
・井(い)=井戸

この卦は、「井戸」を象徴しています。
周りの村々が移り変わっても、井戸はその場所で変わることなく、尽きることのない水で人々を養い続けます。

今のあなたにとって大切なのは、「変わらない信念を持ち、周囲を支えること」です。あちこちへ動き回るよりも、自分の役割をしっかりと果たし、周りの人をねぎらい、助け合うことで運気は安定します。井戸が静かに水をたたえ続けるように、誠実な態度を保ちましょう。

ただし、井戸から水を汲み上げる際、あと少しで水面に届くというところで、つるべ縄が切れたり、桶(つるべ)が壊れたりしては、せっかくの努力が台無しになってしまいます。

物事が完成間近のときほど、気を抜いてはいけません。「最後の詰めを疎かにせず、最後まで丁寧にやり遂げること」を心がけてください。中途半端に終わらせず、最後まで真心を尽くすことで、豊かな恵みを分かち合うことができるでしょう。

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49 沢火革(たくかかく)

・水と火が争う
・革(かく)=革新、変革

この卦は、「古いものを脱ぎ捨てて、新しく作り変える変革」を象徴しています。
沢の水と火が激しくぶつかり合い、古いものが消えて新しい形へと生まれ変わるような、ダイナミックな変化の時を表しています。

今は、ちょうど物事の見直しや改革を行うのに機が熟したときです。あなたが誠実な心で変化を志せば、周囲の人々もその必要性を認め、信頼してついてきてくれるでしょう。変革の目的や道理がはっきりしていれば、物事はおおいにとおり、正しい道を進むことで素晴らしい結果が得られます。後悔することはありません。

自然界に春夏秋冬の移り変わりがあるように、変化は停滞を防ぎ、新しい命を吹き込むために必要なプロセスです。意見の食い違いや対立が起こりやすい時期でもありますが、知性を持って道理を明らかにし、みんなが喜ぶ方向へと導くことが大切です。

かつての王が天の意志に従って時代を切り拓いたように、あなたも勇気を持って一歩踏み出してください。新しいルールや計画を整え、状況を整理して再出発することで、道は明るく開けていくはずです。

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50 火風鼎(かふうてい)

・木の上に火がついて燃え上がる
・鼎(てい)=三本の足で支えられた煮炊き用の神具

この卦は、足が三本ある「煮炊き用の器」を象徴しています。
木を燃やして火を焚き、器の中で料理を作る様子から、新しいものを生み出したり、体制を整えたりする「刷新」の時を表しています。

器で料理を作って神様に捧げ、賢い人々をもてなすように、今は自分の才能や資源を世のために活かし、人を育てるのに非常に良い時期です。物事はおおいにとおります。

成功の鍵は、内側に「しなやかな柔軟さ」を持ちながら、外側には「明晰な知性」を光らせることです。このバランスが取れていることで、周囲の状況を正しく見極めることができ、素晴らしい協力関係を築くことができます。

鼎が三本の足でどっしりと安定しているように、あなたも「自分の立場や役割を明確にすること」を意識してください。正しく誠実な姿勢で、天から与えられた自分の使命(天命)を果たすことが、揺るぎない成功へとつながります。

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51 震為雷(しんいらい)

・雷鳴がとどろきわたる
・震(しん)=雷鳴がひびく、物事が動く

この卦は、激しく鳴り響く「雷」や「激しい動き」を象徴しています。
雷鳴が百里四方にまで届き、人々を驚かせ、畏怖させるような大きな変化や衝撃が起こる時です。

大きな音や揺れに、最初は誰もが驚き、びくびくとしてしまうかもしれません。しかし、雷が通り過ぎれば、人々はほっとして談笑し、笑い合える穏やかな時間が必ずやってきます。「恐れ、慎む」という謙虚な姿勢を持つことが、結果として大きな幸運を招く鍵となります。

大切なのは、周囲がどれほど動揺していても、自分自身の役割をしっかり全うすることです。祭祀で使う大切な道具を、雷に驚いて落としたりしない王のように、あなたは一心不乱に「今なすべきこと」に集中してください。

激しい雷雨を目の当たりにしたとき、優れた人は自らの行いを静かに振り返り、反省して身を修めます。この状況を自分を磨くきっかけにすることで、流れは好転し、揺るぎない未来へとつながっていくでしょう。

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52 艮為山(ごんいさん)

・連なる山々
・艮(ごん)=とどまる

この卦は、「止まること・とどまること」を象徴しています。
山が二つ重なり、微動だにせずどっしりとそびえ立っているように、今は静かにその場に踏みとどまるべき時を表しています。

成功への鍵は、自分の「背中」のように、感覚や欲望に惑わされない静かな境地を持つことです。自分のエゴを忘れ、周囲の騒がしさや他人の目も気にならないほど深く自分自身の内側に集中できれば、過ちを犯すことはありません。

大切なのは「タイミング」です。とどまるべき時にとどまり、行くべき時に行くという、時勢に合わせた的確な判断が、あなたの道を光り輝かせます。今は、むやみに自分の分を超えた欲を出したり、無理に前進しようとしたりせず、自分が「今、あるべき場所」にしっかりと腰を据えましょう。動かずに自分の本分を尽くすことで、揺るぎない安定が得られます。

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53 風山漸(ふうさんぜん)

・山の上で木々が徐々に成長している
・漸(ぜん)=徐々に進む、着実に進む

この卦は、「段階を追って、少しずつ進むこと」を象徴しています。
山の上に木が生えており、それが長い年月をかけてゆっくりと、しかし確実に大木へと育っていくような様子を表しています。
 

今は、一気に結果を出そうと焦るのではなく、正しい手順や礼儀を一つずつ守りながら進むことが、素晴らしい幸運を呼び込む鍵となります。昔の人が結婚の準備を丁寧に進めたように、急がず、しかるべきステップを踏んでいくことで、最終的には確かな手柄や成果を手にできるでしょう。
 

成功へのポイントは、進むべき時には素直な心で進み、とどまるべき時には山のようにどっしりと構える「柔軟さと誠実さ」にあります。
 

日々の小さな努力を積み重ね、自らの徳を磨いていく。その「急がない姿勢」こそが、周囲の信頼を築き、状況をじわじわと良い方向へ変えていく原動力になります。正しい道を一歩ずつ歩んでいるなら、決して行き詰まることはありません。

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54 雷沢帰妹(らいたくきまい)

・沢の気に感応して雷鳴がとどろく
・帰妹(きまい)=年少の娘が結婚する

この卦は、「若い女性が嫁いでいくこと」を象徴しています。
沢(喜び)の上に雷(動き)があるこの形は、一見活気があるように見えますが、実は感情が高ぶるままに、順序を飛び越えて動いてしまいがちな危うさを秘めています。

物事には本来、正しい道理や手順があります。今は、自分の「好き」という気持ちや一時の勢いだけで突き進んでしまうと、結果は「凶」となり、良いことはありません。男女の縁が万物を育む天地の法則であるように、本来、結婚や新しい始まりは喜ばしいものですが、この卦が出る時は「立場やバランスが不自然」であることが多いのです。

例えば、実力以上の役割を強引に引き受けたり、周囲の理解を得ないまま物事を進めたりしていませんか?

成功への鍵は、「物事の終わりを見通して、はじめの一歩を慎重に踏み出すこと」にあります。最初が正しくなければ、必ず後でゆがみが生じます。今は「やりたい」という衝動を一度抑え、今の進み方が道理にかなっているか、将来にわたって良好な関係を築けるものかどうか、冷静に見極める賢さが必要です。

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55 雷火豊(らいかほう)

・雷鳴と雷光が鳴り響く
・豊(ほう)=豊かである、盛大である

この卦は、「豊かさが絶頂に達し、最高に盛大であること」を象徴しています。
火(明らかな知恵)と雷(激しい動き)が組み合わさり、その勢いは最高潮にあります。物事は勢いよく進み、まさに太陽が真上にあるような輝かしい時期です。

「満月はやがて欠け、太陽は南中すれば西に傾く」のが自然の摂理ですが、今はその変化を過度に恐れる必要はありません。大切なのは、この盛大で豊かな状態をいかに維持し、正しく活用するかです。太陽が世界を隅々まで照らすように、あなたの持つ知恵とエネルギーを世のため、人のために存分に発揮してください。

また、雷と稲光が同時にやってくるように、この時期は「明晰な判断力」と「揺るぎない威厳」が求められます。物事の真実を電光のような鋭い知恵で見抜き、雷のような力強さで決断を下す。その潔い姿勢が、豊かな運気をさらに確かなものにしてくれるでしょう。

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56 火山旅(かざんりょ)

・山の上に火が燃え広がる
・旅(りょ)=旅をする

この卦は、「不安定な状況や、慣れない環境に身を置くこと」を象徴しています。
山の上で火が燃え移っていくように、一箇所にとどまらず、状況が刻一刻と変化していく様子を表しています。

旅先や不慣れな環境では、自分の思い通りにならないことが多いものです。そのため、今は大きな望みを一気に叶えようとするよりも、目の前の「小さな願い事」を一つずつ大切にするのが賢明です。不安定な時だからこそ、自分を見失わず、誠実で正しい姿勢を貫くことが、最終的に良い結果を引き寄せます。

成功への鍵は、「冷静な知恵」を持ちながらも「軽々しく動かない慎重さ」を忘れないことにあります。周囲の勢いに流されるのではなく、物事の道理を明らかにし、一つひとつの問題を滞りなく解決していく賢明な態度を心がけてください。その時々にふさわしい適切な振る舞いを選ぶことが、あなたを予期せぬトラブルから守り、道を開く力となります。

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57 巽為風(そんいふう)

・風がふき、それに続いてまた風がふく
・巽(そん)=風、はいる、へりくだる

この卦は、風のように「しなやかに、へりくだって従うこと」を象徴しています。
風が重なり合い、どこまでも吹き抜けていくように、今は自分の意見を強く通すよりも、周囲の状況や優れたリーダーの教えに素直に従うことで、道が小さく開けていく時です。

成功の鍵は、自分を導いてくれる「信頼できる実力者」に会い、教えを請うことにあります。へりくだる姿勢は、周囲に安心感を与え、受け入れられやすくしてくれます。迷わず進んで大丈夫ですが、今は大きな目標を一気に狙うよりも、足元を固めながら着実に進むのが正解です。

また、風が何度も繰り返し吹くことで隅々まで行き渡るように、「丁寧な対話と徹底」を心がけましょう。何かを伝えたり実行したりする際は、一度で終わらせず、何度も言葉を尽くして周囲に理解を深めてもらうことが大切です。その誠実な繰り返しが、あなたの志を確かな形にし、計画を成功へと導くでしょう。

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58 兌為沢(だいたく)

・ふたつの沢がならんでいる
・兌(だ)=悦ぶ、悦ばせる、口

この卦は、「喜び」を象徴しています。二つの沢が隣り合い、互いに潤し合って水をたたえているように、自分も相手も共に心から喜び合っている素晴らしい状態を表しています。

今の運気は非常によく、物事はスムーズに進みます。特に、リーダーが喜びの心を持って困難に立ち向かえば、周囲の人々も自ら励み、あなたを支えてくれるでしょう。自他ともに喜べる状況を作ることには、それほど大きな力があるのです。

ただし、楽しさのあまり、表面的な快楽や一時的な「うわべの喜び」に流されてしまうと、運気が不安定になります。「正しい姿勢(誠実さ)」を保ち続けることで、初めてその喜びは本物となり、良い結果へとつながります。

また、同じ志を持つ友人や仲間と共に学び、教え合い、刺激し合って向上していくのにも最高のタイミングです。お互いを高め合う交流が、あなたの世界をさらに豊かに潤してくれるでしょう。

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59 風水渙(ふうすいかん)

・風が水の上を吹き抜ける
・渙(かん)=散る、発散する

この卦は、「散ること・解けること」を象徴しています。
風が水の上を吹きわたり、水面を散らすように、これまで滞っていた悪い状況が解消され、物事が動き出す時です。

一方で、勢いがあるために、本来まとまっているべき「人の心」までバラバラに散りやすい時期でもあります。運気を安定させる鍵は、「散らばった心やエネルギーを、再び一つの目的に集めること」にあります。かつての王が、先祖を祀ることで人々の心を一つに結びつけたように、あなたも信念や原点を再確認し、周囲との絆を深める努力をしてみてください。

バラバラになったものを一つにまとめ、正しい姿勢で取り組めば、大きな川を渡るような困難な挑戦も、乗り越えていくことができます。私欲を捨て、公明正大な態度を保つことで、散らばっていたチャンスや協力者が再びあなたの元へ集まってくるでしょう。

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60 水沢節(すいたくせつ)

・沢が水をたたえている
・節(せつ)=節度をまもる

この卦は、「節度をまもること」や「適切な区切り」を象徴しています。
沢の上に水がたまっている様子を表していますが、沢が受け入れられる水の量には一定の限度があります。何事も「ほどほど」の加減を知ることで、物事はスムーズに進みます。

成功の鍵は、バランスの良いルール作りです。自然界に春夏秋冬の区切りがあるように、あるいは国の財政を節度をもって管理するように、自分の生活や行動にも「ここまではOK」という基準を設けてみましょう。ただし、あまりに厳しすぎるルールや、自分を苦しめるような行き過ぎた節制は逆効果です。無理のあるやり方は長続きせず、かえって行き詰まってしまいます。

大切なのは、楽しみながら自分を律すること。自分の置かれた立場や状況に合わせて、衣食住や行動の度合いを整えてみてください。内面の徳を磨きつつ、外側への振る舞いも適切に整えることで、周囲との調和が保たれ、安定した良い結果へとつながっていくでしょう。

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61 風沢中孚(ふうたくちゅうふ)

・沢の上に風が吹き、水を動かす
・中孚(ちゅうふ)=誠実さが満ちている

この卦は、「心の中に偽りのない真面目な真心が満ちていること」を象徴しています。
沢の上に風が吹きわたり、その風が水面にさざ波を立てるように、あなたの誠実な思いが周囲に広く伝わり、人々の心を動かす時です。

今は、派手な演出や豪華な飾り立ては必要ありません。神様へのお供え物がたとえ質素な魚や肉であっても、そこに深い真心があれば、その思いは必ず天に届き、素晴らしい幸運を呼び込みます。

成功の鍵は、「私欲のない誠実な心で、正しい道を進むこと」にあります。自分の内側を空っぽにして相手を受け入れる謙虚な心を持てば、どんなに大きな困難も、周囲の助けを得て乗り越えていけるでしょう。

また、真心がある人は他者に対しても慈悲深くなれるものです。人を厳しく裁くよりも、相手の立場に立って理解しようとする温かい姿勢が、さらに多くの信頼を集め、物事を天の理にかなった良い方向へと導いてくれます。

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62 雷山小過(らいざんしょうか)

・山の上に雷鳴がとどろく
・小過(しょうか)=少し行き過ぎる

この卦は、「少しだけ過ぎること」や「控えめなものが優勢であること」を象徴しています。
山の上で雷が鳴り響いている様子を表しており、本来は静かであるべき場所で少し音が響きすぎているような、わずかな不均衡の状態を指しています。

今の時期は、大きな目標を掲げたり、強引に物事を進めたりするのには向きません。しかし、身近な「小さなこと」であれば、スムーズに進めることができます。

空を飛ぶ鳥をイメージしてください。鳥は高く上がりすぎると止まる場所を失ってしまいますが、低く降りてくれば安全な場所が見つかります。それと同じで、今は背伸びをして高いところを目指すのではなく、「低姿勢」を保ち、守りの姿勢を固めることで大きな幸運を手にできます。

また人生には、あえて「少しやりすぎ」くらいがちょうど良い時があるものです。例えば、いつもより少し丁寧すぎるほど謙虚に振る舞う、悲しみや弔いの場では少し多めに哀悼の意を表す、 普段よりも少し厳しめに質素倹約を心がける、などです。

このように、派手さや強さを求めるのではなく、「小さく、控えめな方向」へ意識を向けることが、今のあなたにとって最も時宜にかなった道となります。

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63 水火既済(すいかきせい)

・水が火の上にある
・既済(きせい)=物事が完成している

この卦は、「すでに完成していること・物事が成就した状態」を象徴しています。
すべての要素が本来あるべき場所に収まり、完璧なバランスが整った、理想的な形を表しています。

しかし、易の教えでは「完成は衰退の始まり」でもあります。これ以上伸びる余地がないため、今は大きなことを新しく始めるよりも、日々の「小さなことを確実にこなす」のが賢明です。最初は非常にスムーズに進みますが、完成した安心感から油断をすると、終わりに向けて徐々に秩序が乱れていきます。常に正しい姿勢を保ち、気を引き締めておくことが、良い結果を長持ちさせる秘訣です。

大切なのは「あらかじめ備えること」です。火の上に水をおいて煮炊きをするには、水を受け止める「器」が必要です。物事が順調に運んでいる今のうちに、将来起こりうるトラブルや困難を想定し、準備を整えておきましょう。「備えあれば憂いなし」の精神が、完成された今の幸せを守る盾となってくれます。

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64 火水未済(かすいびせい)

・火が水の上にある
・未済(びせい)=物事がまだ完成していない状態

この卦は、「まだ完成していないこと」を象徴しています。
火は上に燃え上がり、水は下へと流れていくため、今はまだ二つがうまく交わっておらず、物事が形になっていない状態を表しています。

しかし、「まだ終わっていない」ということは、これからいくらでも成長し、良くなっていく希望があるということです。今はバラバラに見える状況も、少しずつ変化を受け入れながら整えていけば、やがて道はおおいにとおります。

注意したいのは、物事が成し遂げられそうになる「最後の詰め」です。小狐が川を渡りきろうとして、あと少しのところで尻尾を濡らして失敗してしまうように、力不足や油断があると、完成の間際でつまずいてしまいます。今はまだ「よろしい」と言い切れる状態ではありませんが、だからこそ慎重さが必要です。

成功への鍵は、「物事の性質を冷静に見極め、それぞれをふさわしい場所に配置し直すこと」にあります。今の未完成な状態を悲観せず、一つひとつの要素を丁寧に扱いながら、次の新しいサイクルに向けて準備を整えていきましょう。

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